1. 取組みのきっかけ
子供からお年よりまで、障がいのある人もない人も、誰もが使いやすいまちやものをつくり広めていく考えかたをユニバーサルデザインとしています。福島県やいわき市では、ユニバーサルデザインに関する各種指針やマニュアル、ガイドブックを作成し普及に努めています。勿来ひと・まち未来会議でも、勿来地区の人々にこのユニバーサルデザインの考え方をまずは知っていただこうと「ユニバーサルデザイン公開講座」として、平成18年度から20年度まで実施しました。
2.実施事業
@「ユニバーサルデザイン公開講座」
第1回は福島工業高等専門学校の齋藤充弘先生、第2回はご本人が先天性の障がいを抱えている株式会社イトーキの清水茜さん、第3回は夫婦ともに車椅子生活を送る蛭田実さん、眞由美さんご夫妻にご講演いただきました。清水さんと蛭田夫妻には、身体障がいを抱える当事者からみた日常生活での困りごとや身体障がい者への接し方等をお話いただきました。
A「ユニバーサルデザイン小中学校巡回講座」
平成20年度には、ユニバーサルデザイン巡回講座として、勿来地区の小中学校全8校へ伺いました。漫画やクイズを織り交ぜた講演の後に、インスタントシニア体験(高齢者疑似体験)として、関節を曲げにくくする専用サポーターを肘や膝に取り付け、手首や足首には重り、目は視界を狭め色の識別がしづらくなるゴーグルをかけて、普段何気なく利用している校内を歩行してもらいました。ユニバーサルデザインを広めるためには、思いやりの心を持ち、誰に対しても相手を気遣う心がけをしていくことが重要であると改めて気づいてくれたようです。
B「街なかユニバーサルデザインコンテスト」
ユニバーサルデザインコンテスト「街なかユニバーサルデザイン探検隊」として、市内の小中学生を対象に、勿来地区でユニバーサルデザインだと思う施設やサービス等を写真とレポートにまとめて応募していただきました。表彰式とあわせて公開講座を実施しています。コンテスト形式で写真とレポートを作成することで、子供を介して、親たちもユニバーサルデザインを認識するきっかけとなっています。
3. ポイント
平成18年、福島県やいわき市の行政施策のなかで、ユニバーサルデザイン推進の活動がみられるようになってきたのを受けて、私ども地域づくり団体としても、地域に暮らす多くの人たちが暮らしやすいまちづくりを目指し、ユニバーサルデザインに関わる活動を始めました。
活動の特徴は、福島県やいわき市、地元の福祉施設と連携して事業を実施いたしました。既に福島県やいわき市ではユニバーサルデザインに関する指針などを策定していますので、行政の取組みを広く地域住民に知らせるパイプ役になるとともに、より地域の実情に詳しい地元の福祉施設と協力し、身近なユニバーサルデザインの事例発表やインスタントシニア体験を実施いたしました。
特に、次世代を担う子供たちにユニバーサルデザインの考えを周知するために、地域の小中学校の校長会とも話し合いをもち、子供たちの総合学習の時間に、ユニバーサルデザイン出張講座を取り入れる取組みも実施いたしております。
4. 将来の方向性・可能性、継続させるための工夫
平成19年から、私ども団体の地域づくりの活動拠点である勿来地域において、街なかのユニバーサルデザインをレポートにまとめ、応募してもらう「街なかユニバーサルデザインコンテスト」を実施いたしております。今後は、このコンテストに応募いただいたユニバーサルデザインについて、「なこそ街なかUDマップ」として、地図と組み合わせたUD資料を作成していく予定です。
5.実施事業報告
5-1. ユニバーサルデザイン公開講座
@事業内容
ユニバーサルデザインに関する基本的な考え方、先進事例などを学ぶ講座。座学とインスタントシニア体験を合わせて実施している。講師は、福島県やいわき市の行政担当者、福島高専の准教授、身体障がい当事者である。
A対象
地元小学生・中学生及びその父兄、地域企業、行政関係者
各講座とも、約50名の参加者がおり、半数近くは親子連れで参加している。
B特徴・主な工夫
福島県やいわき市の行政担当者に参画してもらうことにより、UDに関する行政施策を市民に広めるためのパイプ役を地域づくり団体が担っている。また、基本的な考えを理解することよりも、身近に暮らす身体障がい当事者の話を聞くことで、より生活の中でUDを実践できる機会に気づかせることに注力している。
C期間
平成18年から、毎年1回実施、継続中
D実績・活動状況(施設の利用状況、会員の参加状況)
・ 平成18年:テーマ「福島県の取組みと事例」講師:福島県担当者、いわき市担当者、福島高専斉藤充弘准教授
・ 平成19年:テーマ「障がい当事者からみた気づきのUD実践手法」講師:福島県担当者、いわき市担当者、潟Cトーキ清水茜氏
・ 平成20年:テーマ「街なかのUDと気づきのUD実践手法」講師:泣\ウルメイト蛭田実氏、真由美氏夫妻
E事業の評価
参加した福祉施設スタッフや小中学校教諭から、現場でのUD実践のノウハウについて習得できたとの声が多い。また、小中学生が障がい当事者に質問のやり取りをするなど、積極的な意見交換が展開されている。

5-2. ユニバーサルデザイン小中学校巡回講座
@事業内容
勿来地域の小中学校全校に対し、出張形式で伺う巡回講座の案内をだしたところ、16校中8校からの依頼を受け実施に至る。福島県やいわき市の担当者から分かりやすくUDの基本について学んだあと、地域の福祉企業と当会議スタッフ、参加した子供たちの父兄とともに、インスタントシニア体験を実施。
A対象
勿来地域の小中学校
B特徴・主な工夫
子供たちが身近な祖父母や街なかで見かける妊婦や幼児連れのお母さんなどの身体的な大変さが分かるように、参加した子供たち全員がインスタントシニア体験や車椅子体験を実施した。また、各学校とも校長先生や教頭先生、父兄などにも出席していただき、子供たちだけでなく、地域の大人たちも一緒にインスタントシニア体験ができる機会を提供した。
C期間
平成20年8月〜3月
D実績・活動状況
勿来地域の小中学校、8校が参加。参加生徒総数534人 ※開催日程表は次頁参照
E外部からの意見聴取状況・会員以外の市民の参加状況
自主的に講師やスタッフにお礼の手紙を書いてくれたり、その後に開催した街なかUDコンテストに参加してくれるなどの繋がりがあった。
F事業の評価
小中学校の先生から、生涯学習の一環として非常に高評価をいただいている。今年度の実施以来もきている。
G補足資料:開催日程表
いわき市勿来地区を対象とした「ユニバーサルデザイン小中学校出前講座」 開催日程表
開催内容 前半:ユニバーサルデザイン講座 (講師:福島県ご担当者様)
後半:シニア、車椅子、妊婦などの疑似体験セットによるグループワーク
|
開催日 ・時間・ 小中学校 |
学年 |
生徒数 |
クラス数 |
| 1 |
9月3日(水) 10:30〜12:10 勿来第二小学校 |
6 年生 |
39 人 |
2 クラス |
| 2 |
9月17日(水) 10:30〜12:10 錦小学校 |
6 年生 |
76 人 |
3 クラス |
| 3 |
10月23日(木) 10:30〜12:10 錦東小学校 |
6 年生 |
39 人 |
2 クラス |
| 4 |
10月29日(水) 13:35〜15:25 勿来第一中学校 |
3 年生 |
96 人 |
4 クラス |
| 5 |
11月4日(火) 10:30〜12:10 川部小学校 |
6 年生 |
19 人 |
1 クラス |
| 6 |
11月6日(木) 10:30〜12:10 勿来第三小学校 |
4 年生 |
20 人 |
1 クラス |
| 7 |
11月7日(金) 10:30〜12:10 植田小学校 |
6 年生 |
117 人 |
4 クラス |
| 8 |
11月26日(水) 10:30〜12:10 菊田小学校 |
4 年生 |
128 人 |
5 クラス |
| 計 |
全8校 (小学校:7校 中学校:1校) |
― |
534 人 |
22クラス |
5-3. 街なかユニバーサルデザインコンテスト
@事業内容
特に勿来地域の小中学生がより地域に関心を向け、より思いやりの心を持って暮らしてもらえるよう、市内のUDを見つけ、どのようなところがUDだと思うのかをレポートにまとめて応募するというコンテストを実施。
A対象
いわき市内在住の小中学生
B特徴・主な工夫
子供たちが親などと一緒に、街なかのUDを探索し、どのようなところがUDなのかを話し合う機会につなげるため、コンテスト形式にし、表彰はUD公開講座と併せておこなうことで、多くの参加者の獲得を図った。
C期間
平成19月〜、毎年1回実施、継続中
D実績・活動状況
・ 平成19年 第1回開催 応募総数32件
・ 平成20年 第2回開催 応募総数51件
E外部からの意見聴取状況・会員以外の市民の参加状況
UD巡回講座に出向いた小中学校の先生から、UD講座の延長として地域と接点を持つ良い機会になっているとの高評価をいただいている。
F事業の評価
1年目に参加した子供たちの半数以上が2年目にも参加している。特に平成20年度の第2回開催では、事前のUD巡回講座が功を奏し、子供たちがよりUDについての理解を深め、一人で何案もレポートにまとめてくる子供たちが10名程度見受けられた。

