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年順
氏名
年
短歌
相田 美恵子
平成二年
厨辺を暗めて屋根の雪の先に垂るる氷柱に夕柱に夕光の差す
合津 定之
平成二年
勿来関古墳の跡や苔むして緑したたる弓掛けの松
青木 一郎
平成十年
一年に一度のこも巻きつづけきて関守る吾古稀を迎へり
青木 一郎
平成十五年
年重ね関守る仕事終れどもこも巻きし松数えて登る
青木 うめ
平成二年
幾百年かわりゆく世の関あとにふるさとづくり今さかりなり
青木 うめ
平成六年
老松の虫の予防とこも巻きに出かけし夫は関まもるひと
青木 うめ
平成十年
武者像の鎧に散りし花びらにふと足止めてシャッターを切る
青木 うめ
平成十二年
勿来関登り来たれば宗任の涙の石も関にねむれり
青木 うめ
平成十四年
花びらを背中にうけて清掃の婦人ら数多勿来の関に
青木 うめ
平成十五年
乾杯の盃に浮く花びらをそっと呑みほす関のまつりに
赤津 茂子
平成八年
検診の事なきを得て帰るさに関の桜のわれに舞ひける
浅香 加子
平成六年
職を退く日も間近なりふさぎ旅勿来の関に風花の散る
浅田 米吉
平成十二年
食の無き戦中戦後を生きのびて病む七十路を関の歌会に
味戸 友子
平成二年
関山の松の枯枝集め来て炊ぎし戦後は杳く貧しき
味戸 友子
平成三年
関山の大島桜植えし人世にいまさねど万朶に咲けり
雨宮 好仁
平成五年
桜舞うなこその関にたたずめば心にひびく義家の歌
新井 佐和江
平成八年
なこそなれど来よと言ひにし友ありき如何におはすや半世紀経て
猪狩 アサ
平成四年
数かずの名歌に知らるる関跡に今昔鎮め歌碑は苔むす
池田 佳子
平成三年
バス停に置き去られたる自転車に蔓を這わせて昼顔の咲く
池田 佳子
平成八年
時雨降る林の道を下りくれば紅葉ひと葉が傘に透き見ゆ
池田 佳子
平成十六年
声の糸を木霊のように引きながら林の道を子等下り行く
池田 佳子
平成十七年
一筋の弦を細かく震わせて勿来関に蜩の鳴く
石川 ゆうか
平成九年
いくたびの旅残されん夫と訪う勿来の関跡山ざくら舞う
石関 みち子
平成十年
見上げたる古武士の像のりりしさよ風なくて散る桜もみじ葉
石田 き志子
平成四年
遠き世の文化の礎碑となりて知性織りなす丘を築きぬ
石田 き志子
平成五年
萌え出づる若葉の丘をやわらかき日差しそそぎていしぶみの映ゆ
石田 き志子
平成六年
名跡の面影とどむ義家像仰ぎうなづく若夫婦あり
石田 き志子
平成十二年
義家像春の光に輝けり平成の世を確と見つめて
石橋 ひろ
平成十四年
敷き石の足音親しき勿来関木下蔭行く夏落葉踏み
伊勢野 綾子
平成三年
遠く来てゆっくり見られぬ勿来関句碑の一句を書き取りて行く
井手 浩蔵
平成十五年
障害を背負う旅路の勿来関心に残る紫陽花の雨
伊藤 一泊
平成十八年
武士の越えし古関の秋深む句歌碑の径に松葉散り敷き
伊藤 雅水
平成十七年
関を訪ふひとに声かけ今年また一期一会の茶を点つるかな
伊藤 雅水
平成十二年
関越えていわきの里に三十年を住みて母なる海に抱かる
伊藤 雅水
平成十六年
みちのくの誇りを秘めて松は鳴る来る勿れとは誰に言ひしや
井上 明子
平成十四年
置き去りの君との思い拾いたり勿来の関にうぐいすの鳴く
岩上 進
平成八年
そのかみの武将の夢を思ひ見る勿来関跡夏雲が浮く
上田 博子
平成十六年
高くなき丘の詩碑など巡り読む石あたたかき春陽のなかに
薄井 里奈
平成十五年
なこそ関オープンカーで走りゆく木洩れ陽と風ほおにうけつつ
内田 トシ
平成十年
みちのくの勿来の関のすず風に馬上ゆたかや義家の像
大川原 功
平成十五年
秋深き勿来の関に来たりけり落葉ふみしめ母の手引きて
大田 徳子
平成十二年
義家も茂吉も踏みしこの土か露に湿りて当薬の花
大谷 昌子
平成二年
関山ゆ鴬の声聞こえてきて傍らの君と寡黙に笑まふ
大谷 昌子
平成三年
苔まとふ老樹の桜咲き満ちて勿来の関に光あまねし
大谷 孝
平成十一年
沖を行く船に乗ろうとせがむ妻勿来の関は日だまりの中
大平 徳子
平成二年
勿来の関ゆかりの歌を仰ぎ見る碑の面に春の木洩れ日揺ぐ
大平 徳子
平成四年
蔦もみじしどろに朱き関山の松に鳴る風すでに冷たき
大平 徳子
平成六年
細き雨関の桜に霧らひつつ花びら揺らし雫こぼせり
大宮 静枝
平成四年
ものうけに鳥なくかな歌碑たどり勿来の関の石ただみゆく
大森 絵理
平成十八年
久々の家族の旅は勿来関新緑の中笑顔が咲いた
大山 とし
平成十年
訪ね来し勿来の関の歌碑の径露をこぼして揺るる山萩
大和田 直美
平成十七年
関跡を二人歩いた幸福を子等とかけゆく四人の幸福
岡田 忠蔵
平成二年
見渡せばきらきら光る春の海源義の句碑のそばにたたづむ
岡部広太郎
平成十六年
秋の日に勿来の森を歩いたらいちょうの葉っぱがわらっていたよ
岡部 良作
平成十四年
今日弥生明日は卯月に雪降りぬ勿来の桜またのたのしみ
奥富 シズ子
平成十一年
つつじ炎ゆる勿来関にたたずみて歌碑さぐり読む旅のひととき
押野 宏昭
平成十八年
幼き日母と歩みし関道を結納交わせし人と歩みぬ
小田倉 玲子
平成十七年
幻聴に姑が吾を呼ぶ青葉陰ふりむけばただ木々の葉ずれよ
落合 優里嘉
平成六年
遠き日の武将の姿偲びつつ勿来の関に蝉時雨聴く
小野 桜月
平成九年
修身句碑のかげより降りて続きける古の道に紫苑咲き初む
小野 久喨
平成八年
身にしみる木枯らしすさぶ勿来関茶店の酒にしばし暖とる
小野 洋子
平成二年
梅干をふくみて関を越えしとふ茂吉語りつつめぐり歩きぬ
折井 千鶴
平成九年
薄紅の梅咲きみだれ父母と歩く勿来路二十歳の思い出
織内 広子
平成三年
コンタクトはづして視界のうすき眼に水槽の鯉范々と見ゆ
笠原 壮介
平成四年
訪ねきし勿来の関の石だたみ木洩れ日に咲く萩の細道
勝井 かな子
平成八年
勿来とはいはね名をこそ声あげて呼ばむ蝦夷地のきみのみたまに
加藤 悦子
平成十六年
悠久の時の流れに身をゆだね勿来の関は秋風の中
加藤 貴子
平成十七年
「春が来た」桜の下で歌ったよありと弟あそんでいたよ
加藤 十美子
平成七年
退職の夫と登りし関跡に残りの萩の淡淡と咲く
加藤 ななみ
平成十五年
さくらの木いっぱいさいているんですうみもみえるしお空もきれい
加藤 守
平成七年
都会から勿来の関へ来てみれば心がなごむせみのなき声
金田 美佐子
平成五年
軍神の文字も入りたる勿来史碑世代はるかの子等と来仰ぐ
鹿野 貢
平成十四年
吹く風にいにしへ薫る勿来関夢とうつつをいかに隔てむ
唐沢 宗彦
平成九年
日溜まりに午睡楽しむ猫の子を優しく包む梅のこもれ日
川口 隆志
平成六年
冬枯れの勿来の関に陽だまりを求めて偲ぶ過ぎにしロマン
かんだみか
平成十四年
はるやすみさくらまつりにいきましたにちようびきょうはははのたんじょうび
菊谷 由起子
平成六年
歌碑多き勿来の関の樹の下に吾れ佇みて蝉の声聞く
北郷 幸一
平成二年
勿来路に住みて幾度花を見しこの華やぎに心ゆだねて
北郷 敏子
平成四年
十歳経て勿来の関に再び訪ねし吾にやさし松籟
北林 三和子
平成六年
来るなかれ勿来の関を訪いくれば寒紅梅の今盛りなり
北村 登美江
平成五年
萩咲ける勿来の関に語らひし君は在まさずひとり佇む
北村 登美江
平成七年
苔むせる歌碑に思ひを託すかに萩の薄紅風なきに散る
北村 登美江
平成十二年
戦傷の君いたわりて巡りし関去りがたくひとり松籟を聴く
清野 吾郎
平成二年
春立ちて関跡に舞し桜花義家公の和歌に残りし
清野 吾郎
平成十四年
ぼんぼりの灯りにゆらぐ桜花武者の背中に舞いて散りゆく
桐原 きみ子
平成七年
天蚕の繭の緑の幽かにも揺れつつ光る楓の枝に
栗崎 良俊
平成十二年
義家の衣かけたる松ケ枝に昼の月あり関を巡れば
栗崎 良俊
平成十四年
散歩する勿来の浜を二人連れ何を話すか時折り笑う
栗崎 良俊
平成十五年
ひそかなる慕情告げむと勿来浜歩めば光る蒼き海原
栗崎 良俊
平成十年
ひそかなる慕情は告げず海光る勿来の浜に午后を歩めり
栗崎 良俊
平成十一年
この蒼き海原の果てアメリカと子等は言いつつ勿来浜ゆく
小池 サチ子
平成十一年
歌碑なぞり胸に刻みて帰らんと一首一首を時かけて読む
小泉 喜久代
平成十五年
老いてなほ華やぐ心にひとり来し勿来の関に葛の花咲く
児玉 彩乃
平成十七年
関跡で耳をすませば聴こえますきれいなきれいな鳥のさえずり
児玉 利彦
平成十一年
うからやから集ひて来たる関の跡コーヒーも良しさくら茶もよし
後藤 明夫
平成十一年
常磐路の遠きえにしの陸奥のくに山路寂たる雁渡りゆく
後藤 重造
平成十六年
落日の勿来の関の碑に立てば愁ひ深げに萩の揺れゐる
小林 さかえ
平成八年
日のもるる勿来の関の石の路紫淡く萩のこぼるる
米山 チエ子
平成二年
夜桜のおぼろ月夜に影写し花びら舞いて道白く見ゆ
斉藤 昭
平成十四年
潦に紫陽花の藍映りゐて関山の径雨に濡れをり
斎藤 カツ
昭和六十二年
松の水の合間より見る勿来港おぼおぼとして眠れる如し
斎藤 圭子
平成八年
亡き父に聞きし勿来にあくがれて梅雨の晴れ間の関に今たつ
斎藤 肇
平成七年
勿来路の山峡にして茂吉大人梅干ふふみ何思ひけむ
斎藤 ハル
平成十一年
桜散る小雨の関路歩み来て花びらつきし白き足袋ぬぐ
斉藤 はる
平成十五年
道も狭に散りしきる花地にまろび吹く風に乗りまた舞ひ上がる
斎藤 美奈子
平成七年
息子らと訪ねし勿来来春は孫と五人の旅のぞむなり
さいとうみのる
平成十六年
秋深き勿来の関に父のこゑ母のこゑ聴く海の青さに
斉藤 みのる
平成十八年
放たれし子犬のごとく我が妻の振舞ふ日なり関のさくらに
酒井 公子
平成八年
苔むせる桜大樹に身を寄せて義家の碑をしみじみと読む
酒井 藤紘
平成二年
喧騒を逃がれ勿来の関に来ぬ山桜ばな散りはじめをり
作山 みき
平成三年
おぼろなる記憶たどりて来し孤児の逢い果たせざる面いたいたし
佐々木通代
平成十六年
「とおせんぼ」ひろげる君の腕をとる勿来の太き松の木のした
佐田 毅
平成七年
いつまでも勿来の関を去りかねて味噌田楽の一つをつかむ
佐藤 英二
平成十七年
君の背を想い出しつつ一人往く関の細道葉桜の下
佐藤 英二
平成十八年
工事場の太き桜の切り株の蘖濡らす関の春雨
佐藤 庄衛
平成二年
勿来れ関跡に残りしもろびとの歌をしのびて妻と語らん
佐藤 芳江
平成八年
紅梅のふふめる蕾大寒の関の氷雨に濡れそぼちをり
佐藤 良子
平成十八年
遠き日の関に散りにし山桜しのび唄いぬ勿来大津絵
嶋田 千代子
平成十一年
通行のままならぬ世もありかと勿来の関に立ちて思ほゆ
島田 年行
平成十五年
表彰の妻に付添う関荘に桜まつりの雪洞眩し
島田 リイ
平成九年
入院の決まりし夫とひとときを葉桜映ゆる勿来路歩む
島田 リイ
平成十四年
関跡の歴史館内ふれあゆみ江戸の生活にタイムスリップ
島田 竜生子
平成十一年
病みなかば勿来の関に妻と来てつくつく法師のやさしき声聞く
清水 朋子
平成六年
夫と来し勿来の関の館にて雨の音聴き桜茶を飲む
志村 重憲
昭和六十二年
花低き西洋たんぽぽつつましく源義の句碑の根締めに咲けり
下山田 尚史
平成十年
山道をのぼりつめたる頂きにコーヒーのめばつかれとぶなり
菅原 和歌
平成元年
春一番吹き去りし朝の寒椿くれない深く二つ咲きいる
菅原 和歌
平成十二年
妹を恋う武人の思いや関跡の繁みにのぞく円ら赤き実
菅原 和歌
平成十六年
展ごれる遠海原を借景に勿来の関の松籟を聴く
杉浦 明
平成六年
八幡太郎義家の像仰ぎとり汗垂りし肌に風を入れつつ
鈴木 多賀子
平成十年
夫と来て勿来の関の歌碑めぐり秋の日射しをやわらかに受く
鈴木 光子
平成十年
緑こき勿来の関に足とめて定年祝う我ら夫婦は
鈴木 美佐子
平成二年
ちぎり絵のごとき雲ゆく朝空にかかれる月の仄かなる影
須田 和永
平成八年
朋友の告別式の帰り道ひとり登る君と来し関
須田 和永
平成十一年
ふるさとの名所とわれは朋友に勿来の関に能弁となる
須田 淳子
平成九年
小雨ふる勿来の関をバスに行くいにしえ人の歩みし坂を
関 喜和
平成十七年
武士の名歌刻める碑の木洩れ日淡き関の坂道
関内 幸介
平成十四年
なこそとは誰がいひそめしみちのくの菊多の関は守る人もたえ
先崎 美江子
平成元年
風により遠鳴く蛙の声聞こゆ若葉ぐもりの関の坂道
先崎 美江子
平成二年
義家の像をも入れむと友に向くるカメラ一瞬新緑捉ふ
大佐 優
平成九年
関址を歩む吾身の幽けくて照葉触れ合ふ音のみを聴く
平子 拓也
平成十八年
さくらさきおむすびもっていそぎあしことしもきたよなこそのせきへ
田岡 恒子
平成元年
関跡にて野点したしと言い居たる師の逝き給ふ寒もどる朝に
田岡 恒子
平成二年
来る勿れとふ関跡に我が歌の揚げてありて櫻散り敷く
高須 敏夫
平成五年
走り根を頼りに登る関跡の青葉の合い間に海は光れり
高橋 キク子
平成五年
咲き垂るる萩の薄紅濡らしつつ勿来の関に今日を降る雨
高橋 しめ子
平成三年
義家が馬洗ひしとふ故事しるす駒止めの滝涸れがれに落つ
高橋 しめ子
平成四年
水底に落葉鎮もり関跡の弓弭の清水尽きることなし
高橋 しめ子
平成五年
義家の像を指しつつ研修のガイドら互みに冊子読み合ふ
高橋 しめ子
平成七年
義家が愛馬葬りし跡と言ふ馬頭尊古り供花絶ゆるなし
高橋 しめ子
平成十年
守り継がれ十代目とふ義家の母衣掛け松の枝まだ稚し
高橋 しめ子
平成十一年
義家の母衣掛け松に書き初めを飾りて上達祈るこどもち
高橋 順子
平成九年
なだらかな丘に歌碑あり師をしのび老い松に手をふれて見にけり
高橋 眞次
平成十四年
杉花粉飛ぶ関山の裏峡に老夫婦ゐて茸榾組む
高橋 治子
平成二年
君おわす勿来の関の初旅は三十一文字に瀬踏みたのみて
高橋 文男
平成十七年
並びゐる碑読みつつ登り来て関所の跡とふ杜をもとほる
高橋 ます江
平成十年
葉桜の勿来の関に立ち寄りていにしえ人の歌碑に親しむ
高橋 三加子
平成八年
吹く風を冷たしと思ふ関跡の南のなだりに梅の花咲く
高畠 憲子
平成三年
宿りたる吾子の重みを両足に踏みしめ登る勿来関跡
武田 瞳
平成四年
えんそくでなこそのせきにきたんだよぶんかをもっとしりたいな
田子 仁郎
昭和六十二年
関跡の松の根方に湧きいでて矢尻の水の断ゆることなし
田子 不二子
平成六年
日の光浴びて凛々しき武者像に今朝は初雪うすくつもれり
田島 邦子
平成十二年
若き日に歴史に学びし関跡を老いて訪い来ぬ若葉吹く中
田中 小百合
平成五年
梅干をふふみ茂吉の来たまひし勿来に遇ひぬ紅梅の花
田中 三枝子
平成十二年
桜舞う勿来の関を訪ねしは三十年前の夫の勤務地
田中 美幸
平成四年
義家と貞任の合戦スライドに思い出となる勿来資料館
辻 康夫
平成十八年
桜さくなこその関にみちのくの未来を築く槌音高し
土井 常司
平成十一年
義家を乗せし馬の眼かなしげに今は昔しの山桜浴ぶ
土岐 美智江
平成七年
小雪降る勿来の関の山峡は松風を古のすだまとぞ聴く
永井 みよ
平成二年
枝つらぬ咲けるさくらの花の下駒ひびかせて武士の行く
永井 みよ
平成三年
関跡に残る茂吉の歌碑古りて風うす寒く冬日に光る
中里 清枝
平成五年
文人の詠みし詩をば口ずさみ山蝉の鳴く坂道登る
中條 定子
平成十二年
落ち葉ちるなこその関に冬じたく遠く残せし父母思う
中根 豊子
平成元年
老いし母の便り届きて添え書きに判断をして読み給へとある
中根 有一
平成十四年
子供らと登りゆく関の道すがらうしろ姿に未来をたくす
中根 有一
平成十六年
すれちがう心の奥をみるように関の黒松雨に濡れゆく
中野 一雄
平成十年
桜の実なこそなればと散り敷くを踏みしめのぼる関の山道
中野 笙子
平成十七年
義家を桜の大将と語りたる父逝きにけり関見ざるまま
中野 光江
平成五年
名にしおふ勿来を訪へば秋霖に歌碑ことごとく濡れて静もる
中野 光江
平成十年
桜の実散りしくなこそ由由しくてはらからと踏む山かひの道
長橋 守
平成七年
いにしえの防人の跡やなこそ関秋のしじまに人影もなし
中山 光衛
平成十一年
いにしえの碑ぬらすつゆの雨関を訪ねしわが身にも降る
名古屋 かすみ
平成七年
冬木たつ勿来の関の枯れ色に点る種火のごとき紅梅
滑川 秀雄
平成十二年
目に見えぬ歴史を関の跡にみて山の小径の風をたのしむ
新堀 晴子
平成八年
義家ののぞみし海か松が枝をすかして光る冬の海原
根本 茂弘
平成二年
行列の鎧作れば子等は皆関の若武者夢に見て待つ
根元 庄一
平成元年
関の坂登りつめれば浦波にしらす追う舟散らばりて見ゆ
根本 庄一
平成二年
語部の余韻に似たる松籟は関訪ふ人を古へ誘う
根本 竹雄
平成十一年
粉雪のわが家を後に関あとに立てばのどかな春の風吹く
根本 雪江
平成七年
夫と来しなこその関は美しき紅葉の季節今盛りなり
芳賀 節子
平成十七年
遠き日に風船爆弾作りしよ今日関跡に平和を祈る
箱崎 房子
平成三年
長寿学園の生徒ら集ひ花のなき勿来の関は華やぎてをり
橋本 ウメ子
平成二年
潮風に時折り冷ゆる関跡の萩ゆらしつつ人等ゆき交う
橋本 和江
平成六年
遠き日に母と登りし関跡を今日はわが子と肩ならべ行く
早川 はな
平成二年
紫式部の実のあざやかに光りいて勿来の関は秋を装ふ
原 美智子
平成五年
義家の像のかたえのいしぶみを読みて飽かずも秋曇る日に
樋田 勝恵
昭和六十二年
義家を偲びて植えし花闌けて宴の園にいくひらの散る
平井 改江
平成十六年
関跡は花の吹雪のとめどなく入選歌に見る逝きし人の名
平田 房子
平成九年
山桜散るなこそ路を老二人いにしえびとを思いつつ行く
深谷 藤男
平成十二年
遥か日に関の祭りに孫の手をひきしその手を孫がひきゆく
福島 光子
平成十五年
久びさの仕事休みの紅葉狩り勿来の関に夫と腕くむ
福田 絹枝
平成四年
職退きし夫と歩める関跡の石段登る足かばいつつ
冨士 毘出夫
平成十七年
紅葉のすでに散りたる枝の隙に太平洋を見放けむと佇つ
舟木 美保子
平成十八年
海かぜにやっとほころぶ花二つ勿来の関の早すぎる春
星 智恵子
平成二年
石碑を巡りつつ登る関の丘揺けき海に春日きらめく
前門 八重子
平成九年
冬ざれの関の小路をそぞろ来て松毬落つる音に振り向く
舛井 昭恵
平成四年
松が枝に交はりて咲く山桜浜風強し勿来関跡
舛井 昭恵
平成五年
峡路ゆく日の寒くして山桜楚々として咲く花の静かさ
松崎 せつ子
平成五年
退職のま近になりし夫ときて勿来の関の松籟を聴く
松平 則子
平成十年
汝とこそ訪わましものをひとり来て勿来の春のただなかに佇つ
松本 恵
平成四年
秋の日の光りに染みし萩の花勿来の関の松かげに咲く
松山 政一
平成九年
学芸会に勿来の関を演じたる遠き思い出関跡を行く
三井 和夫
平成十五年
緑濃く蝉の声降るこの関の今日の守人の他人へやさしき
皆川 二郎
平成十八年
傘さして拓本をとる君に遇ふ勿来の関の茂吉歌碑前
三村 信子
平成十七年
杳き世の小町顕たしめ関跡に傘傾けて歌碑を読みつぐ
村上 喜八
平成十八年
関の径めぐれば広がりゆく海の冬日に水脈の藍は深まる
村上 由美子
平成七年
関守る人のやさしさしのばれて菰まき桜の芽の動き出づ
森井 仁
平成十七年
父さんも関でおむすび食べたよと松籟聴きつつ孫に言いたり
森井 仁
平成十八年
古の蹄音する関跡に太平洋より渡る春風
森田 栄子
平成元年
いく度か共に尋ねし関なれば君いまさねど霞寄り添う
森田 栄子
平成四年
亡き君の賞でし関跡たたずめば落花と紛う松のこもれ陽
森田 栄子
平成六年
尋ねきて俄かにたちし秋風は亡君のみ声か夕映えの関
もろはしさな
平成十六年
またくるね おじぞうさまにおやくそくこんどはおいもをたくさんもって
矢代 ミツ
平成十八年
老いし姉詠みたる和歌のひと節が思い出さるる関の山路
安田三代子
平成十六年
義家の弓持つ像を仰ぎつつ勿来の関に時鳥聞く
安田 靖子
平成十六年
いにしへの関所が守を続け居る名残の桜海かけて散れ
矢吹 保男
平成十四年
勿来とふ悲しき道を歩みつつ二人が見てゐる群青の海
山内 操
平成三年
日だまりに漂ひきたる蝶一つ八つ手の花に翅をたためり
山縣 美紀代
平成九年
銀婚を仰へし春に訪ふ里の勿来の関に風匂い立つ
山口 歌子
平成三年
はなびらを被きてまどろむ野仏と旅の終りの昼餉を分つ
山崎 佐世子
平成五年
訪ね来し勿来の関の資料館パネル豊かにわが前にあり
山田 楓
平成十五年
家族みなそろってこれたなこそ関海がきらきら光っていたよ
山田 美智子
平成九年
小名浜をはるかにのぞむ関跡に写真とり合ふ友と来たりて
山野辺 房子
平成十八年
八十路まで生きて祝の絵画展菊の香満る関のギャラリー
横田 ハマ
平成六年
束ね髪の女の作りし田楽に勿来の関の風匂ひけり
吉田 朱美
平成九年
さわやかなかぜをうけつつ立つ関に武士の強さと優しさを知る
吉田 健一
平成十二年
千年の時を隔ててつはものの声を聞かむと関跡を訪ふ
吉田 健一
平成十四年
期すること何かあるらし関跡に登りて冬の海見る吾子は
吉田 健一
平成十五年
関跡はなぜか気持ちが安らぐと反抗期の子がぼつりと洩らす
吉田 健一
平成十六年
だれかより義家ずつと美男子と像を指しつつ笑ひぬ妻は
吉田 健一
平成十七年
海めざし舞い上がりたり丘の上の勿来の関に散る夕紅葉
吉田 健一
平成十八年
案内のつもりなのかい我が前を関に向かひて飛ぶオニヤンマ
吉田 湖舟
平成三年
凱旋の心おどりて詠みたるか勿来の関の山桜花
吉永 剛
平成四年
にじみ出る汗をふきつつ登り来てついについたぞ勿来の関に
吉成 みよ
昭和六十二年
老髪に散る花びらのいとおしく払わず歩む関の坂道
漏田 サカエ
平成十五年
斉藤茂吉の踏みしはいづれ樹の根張る勿来の関の跡を歩みつ
若林 あい子
平成七年
武士の声か勿来の関跡に佇ちて聞かばや松風の音
渡辺 和枝
平成二年
山桜めぐりて芽吹く濃き淡き緑は海の碧へと続く
渡辺 和枝
平成三年
トンネルを出づれば関跡の近くして太平洋の波は耀ふ